株式会社 丸秀工機 パイプ切断機 PIPE COASTER(パイプコースター) 製造・販売

レーザーvsプラズマvsガス切断

近年、鋼材の切断については、様々な種類の切断用機械が販売されており、多岐にわたる切断加工方法が確立されています。
その切断加工方法は、一般的には、「機械加工」と「溶断加工」に分類されます。
機械加工は、工作機械での加工を指します。

「主として金属の工作物を、切削、研削などによって、又は電気、その他のエネルギーを利用して不要な部分を取り除き、所要の形状に作り上げる機械。ただし、使用中機械を手で保持したり、マグネットスタンド等によって固定するものを除く。狭義であることを特に強調するときには、金属切削工作機械と表現することもある。」 

と、日本工業規格(JIS)では次のように定義されており、「溶断加工」は、金属切削工作機械の分類には含まれておらず、「機械加工」とは別分野として扱われることが一般的です。 今回は、この「溶断加工」について、記載します。

各切断方法の概要

主に、溶断加工では、「レーザー切断」「プラズマ切断」「ガス切断」に分けられ、エネルギーを使用して材料を溶かして、溶けた材料を気体により、母材から分離させる事を意味します。

レーザー切断は、
レーザビームをノズル先端より材料に照射する際に、各材料に最適な種類のガスをレーザビームと同軸に,切断材料に吹き付けて、溶融した切断材料をレーザビームが照射された部分から分離排除し切断します。(虫眼鏡による熱発生原理の応用)

プラズマ切断は、
電極を介してアーク放電をノズルから発生させ、材料との電気反応により熱エネルギーを生み出し、適応ガス(エア含む)で溶融した切断材料を分離排除し切断します。

ガス切断は、
ノズルの先端で形成された炎によって、切断部を加熱し,そこに酸素を吹きこみ、酸化反応を起こさせると共に,溶融した切断材料を吹き飛ばして切断を行います。

上記のご説明でもお分かりとは思われますが、基本的は、どの切断方法も「モノを溶かして気体で飛ばす」という原理のため、考え方に大差はありません。 一般的に考えられている各切断特性が比較されている下記の表を確認ください。

対応板厚切断時間切断精度切断面対ドロス開先
レーザー
プラズマ
ガス

上記の表は、本当に正確な情報なのでしょうか?
専門家の渡辺さんに尋ねてみました。

切断博士 渡辺さん
研究員 丸秀くん

「渡辺さん!この表を見てください!」

「ほうほう、これは溶断媒体の比較表か、、、ぬぬ、、、これは、あっているようで、あっていないね」

「えっ、どういう事ですか??教えてください」

「しょうがないねー、、本当に知りたい??」

 以下、渡辺談

上の表は、加工状況、切断装置と時代によって、大きく変わってくるね。
一つずつ説明しよう。

対応板厚

まずは、対応板厚から見てみよう。
この表では、レーザーが板厚切断に弱い、ガスが最も厚肉の切断に適していると書いてあるね。
まず始めに、レーザーで厚肉が切断出来ないという情報は、昔の話だよ。今は、大型のレーザー発振器を積んで、50㎜ほどの厚肉切断を可能にするレーザー切断機も、登場しているよ。プラズマだって、150㎜の厚肉を切断可能なモデルも現実的に存在しているよ。
ただし、現実的に大型の発振器を搭載したレーザー切断機や超大型プラズマは、初期費用が高いから、その費用対効果を考慮して、ガスが使用されることが一般的なんだ。
まあ、どこまでの厚みをターゲットにしているかで、考え方は大きく変わるね。
例えば、25㎜の板厚の切断ってなると、今の技術なら、どの媒体を使っても、ある程度の精度を保って切断が可能だよ。 25㎜も、十分厚肉だと思わないかい?わかったかな?

切断時間

次は切断時間。
レーザーが最速で、ガスが一番遅いって事だね。
これは比較的正しい情報だと思うよ。ただし、言い方を変えた方が良い。
切断板厚や切断方法に応じて切断スピードの優位性が変わってくるっていう表現の方が正しいかな。
当然、機械本体の能力やメーカー毎の仕様によっても違いがあるけど、すべて現在発売されているハイエンド機という想定で話をさせてもらうよ。
たしかに、1㎜~6㎜ぐらいの板厚切断ではレーザー切断機は、プラズマ切断機やガス切断機より早く切断ができるよね。
じゃあ、12mmでは、どうだろう。正直、プラズマ切断機の方が優位だと思うよ。
10㎜を超えるような切断では一般的に、開先と呼ばれる溶接用の溝加工が必要になるんだけど、切断媒体を傾けての切断スピードは、一般的には、レーザーよりプラズマの方が優位に立っているよ。。。
というよりも、汎用的って言っておいた方が良いか。 
レーザーで、切断媒体を傾けての開先切断は、限られたメーカーしか実用的なレベルでは開発が出来ていないことがその理由だね。
じゃあ、25㎜以上の切断はどうだろう。実用的なスピードの比較では、間違いなくプラズマが頭一つ出てくるとおもうよ。ただ、ここで忘れちゃいけないのが、ガス切断。実際のところ、水素ガスを使ったガス切断では、30mm板厚の切断では、大容量プラズマと同様の切断スピードで切断出来たっていう話もあるくらいだよ。
どの媒体も可能性を秘めていておもしろいよね。

「長くなってきたけど、まだ話聞きたい??」

「まだいけます!!」

「OK、じゃあ進めよう」

 以下、渡辺談続き

切断精度

切断精度は、この表のままでもいいかもしれないね。
溶断機の切断精度を表す際に、大事なのがカーフサイズと呼ばれる切断火幅だよ。
参考までに、レーザーは0.1㎜~、プラズマは1㎜~、ガスは2㎜~といわれているよね。
火やビームの幅がそのまま切断精度に影響が出るって考えてもいいよ。
その場合は、この切断精度が正しい表だと思うよ。
ところで、それぞれの切断媒体の火の形に特徴があってね、それを補正できる切断機械を使うことによって、高い切断精度が維持できるんだよ。
どの媒体にも共通しているのが、切断面は、本当は真っすぐではないってことだね。
たとえば、レーザーは、もとより、プラズマの切断面は、テーパーになっていて、決して真っすぐとは言えない。それを各メーカーが補正をかけて真っすぐに見えるように調整しているんだよ。
現場の職人さんに話を聞いてみると、ガス切断が一番真っすぐ切断面をキープできるって話も聞いたことがあるよ。 やはり古くから使用されているガス強しって感じだね。

切断面

さて、次は、切断面か。。
切断精度のところでも少し説明したけど、切断面はそれぞれ特性がある。
傾きは、説明済みだけど、面の粗さっていうところでも、大きな違いがあるよ。
さてさて、この表では、レーザーが一番きれいって事か、、、、これには私は反対だな。
目で見えるレベルでは、私はガス切断が一番きれいだと思うよ。
これには理由があってね、切断面を一番確認しやすいのは厚肉の切断だけど、その厚肉の切断をするとき、レーザー切断機では、足りない力を補うために、パルス調整して切断を行う事が多いんだ。
そのために、切断面に細かい縦線が入っている切断面をよく見る。
レーザーで切断した開先加工品をそのまま溶接すると、この縦線のノッチから、割れやピンホールの原因となるっている話も聞いたことがあるよ。
その反面、プラズマやガスは、切断面が完全に溶けてしまっているから、なめらかな切断面になることが多いんだ。
どの媒体にしても、使用する機械本体が大きく影響してくるから、絶対とは言えないし、
日本のハイエンドメーカーでは、この切断面にこだわりを持って機械の開発をしているから、とても高い品質の切断面を提供しているよ。

ドロス量

「ドロスについてはどうですか?ていうか、ドロス、スパッター、スラグ、バリって、同じですよね。やはりレーザーが少ないですか?」

「ついている場所の違いで、ほとんど、同じ意味合いでいいとおもうよ。そうだね、レーザーは、ドロスの絶対量はすくないと思うよ、それについてもお話しししておこう」

ドロスは、単純に説明すると溶かした材料の量によって、変化するんだ。
そのために、火幅が少ないレーザーでは絶対的に、その他の切断媒体と比べてもドロス量は落ちてくるね。 ただし、ドロスが全くないということは、物理的に非常に難しいよ。材料を溶かして切っている以上は、必然的に生じるものだからね。
だから、「切断後の切断面に、そのドロスがくっついているか否か」、また、「そのドロスが外れやすいかどうか」、この2点が非常に重要なんだ。
例えば、通常の軟鋼材料にドロス量が多いといわれるプラズマで切断を行った際は、
切断面の下にドロスがつく量が多いけれど、このドロスは、後工程でも簡単に外すことが出来るんだ。
その場合は、大きな問題にならないことが多い。 ただし、同じプラズマでもステンレス材の切断では、くっついたドロスは、中々外れなくて、そのあとの加工で厄介になる。そのために、レーザーや高品質プラズマでは、切断面の良化やドロス量の削減を目的に、特殊ガス(アシストガス)を使いながら切断を行う事もあるんだ。溶接の時も同様だよね。
レーザーは、一般的に、ドロスがないって勘違いをしている人たちもたくさんいるんだけど、今の話を聞いて分かった通り、ドロスはゼロではないんだよ。
もっと言うと、厚肉の切断は、レーザーでも、プラズマでもドロスはある程度出てしまうんだ。

開先

とうとう最後になってきたね、開先ね。
開先切断は、間違いなくガスが一番強いと思うよ。
現状、レーザーは前述の通り、切断中のトーチの倒れ込みをどんな条件下でも維持することは難しく、プラズマ切断機でも、最高でも45度ぐらいの開先角度(トーチ倒れ込み角度)が切断限界とされているね。
それに比べて、ガストーチは非常にシャープな形状で、75度までの開先角度(トーチ倒れ込み角度)も可能といわれているんだ。
ただ難点は、ガス切断では、ステンレス等の金属は切れない点かな。

まとめ「大切なのは使用用途に伴った機器選定」

まあ、この表をみて、色々な話をさせてもらったけど、
どの切断媒体もそれぞれ個性があって、どれが良いとか悪いとかは、正直ないと思うよ。
使用用途に伴った機器選定が一番大事なことだね。

「これで以上かな、僕は研究が残っているから、家に帰るね。またなんかあったら、質問してね」

「渡辺さん、ありがとうございました!!」
「渡辺さんの話は分かりやすかったなあ。またなんか困ったことあったら聞いてみよー」